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広島大学大学院 総合科学研究科 行動科学講座
教授 堀 忠雄氏「快適睡眠のすすめ」
 土木、建築、造園などの現場では、昼食後に1時間近い昼寝をとる習慣があることは前も述べた。西日本の農園の一部では、暑い季節には、農作業のあいまをみて木陰に入り、昼食をとったら、みんなで寝てしまう習慣がある。地方によってよび名は変わるが、赤ん坊も専用の籐のかごに入れられて畑にきており、家族全員が食後に昼寝をしているのである。沖縄県にもかなり公認された昼寝習慣が残っている。
 読売新聞の連載コラムに、午後の仮眠がとりあげられた。東京にある大手建設会社の設計部門では、ソファーとテレビが置かれたリフレッシュコーナーが各階に二か所あり、昼食後に仮眠する社員があちこちに見られる。研究職や設計事務所の中堅が活用しており、昼寝をすると頭がすっきりし、創造力がましてくるという。
 公務店や土木工事店に引きつがれている昼寝は、首都圏の高層ビル街にも引きつがれていたのである。ゼネコンといわれる大手の建設業では、伝統的に昼寝を意味あるものとして認めながらも、世間体も考え、ひっそりと続けてきたようである。工事現場ではかならず昼寝をする。そうしないとミスがおき、事故につながるといいきる。昼寝が許容されることは、現場の安全管理をひたすら考える企業姿勢に関係したものであろう。
 このような仮眠室を用意するという考え方は徐々にひろがりつつあるようで、官庁街でも、昼休みには、使っていない会議室や談話室を仮眠休憩所として開放するところも増えてきているようだ。ところが、この不景気に昼寝をしているというと、いかにも怠けているように受けとめられかねない。たしかに私自身が、「このたいへんなときに昼寝の研究とは、ほのぼのしていていいですね」などと、少々トゲのある声をかけられる。企業イメージを大事にするところは、たいへん神経質になっており、どのくらいの企業が昼寝を実行し、それによって損失をどれくらい防ぐことができたかを、数値で明示できないところが残念である。
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