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新シエスタのすすめ Part2
広島大学大学院 総合科学研究科 行動科学講座
教授 堀 忠雄氏「快適睡眠のすすめ」
 さて、ここで「新シエスタ」を提案したい。午後2時におやつ休憩が30分とれたとする。このときには、まずおやつをとろう。おやつを食べてもカフェインやティオブロミンが効いてくるのは30分後である。そこで、昼寝が好きな人はおやつを10分ていどできりあげて、仮眠スペースで昼寝をしよう。ソファーに横になるのが1番いい。机にうつぶせになるのでも、背もたれにもたれかかるのでもいい。20分間昼寝をする。
 そして昼寝が習慣化してくると、20分ピッタリで自己覚醒できる。腕時計の小さなアラームでしっかり目ざめるが、たいていはその直前に止めることができるので、まだ寝ている同僚を起こす心配はない。目がさめると、コーヒーや緑茶、紅茶、チョコレートの効果がちょうどあらわれてくるので、寝ぼけ顔でデスクにもどることはない。
 昼寝のリフレッシュ効果とおやつの回復効果の時間差をうまく組み合わせると、30分の「新シエスタ」で、午後の生活と仕事の質を飛躍的に向上させることができる。
 このやりかたは、イギリスの交通安全チームが、トラックの居眠り運転防止に応用しようと、シミュレーション実験をすすめている。私たちの研究室では、比較的単調な制御室や情報管理部門を前提に、この昼寝とおやつのコンビネーション計画を実用化に向けて開発中である。実験段階であるが、昼寝単独のばあいにおこる再入眠や、ひどい眠気でまったく仕事にならないという睡眠酩酊は1度もおきておらず、なかなか好成績を上げている。
 昼寝は好きではないという人もいる。昼寝が公認される人間的な社会では、逆に昼寝を強制するようなこともあってはならない。静かに談笑したい人は、30分そのまま談話室で楽しくすごすことである。休み時間が終わったころに、おやつの覚醒効果が効いてくる。これで、午後の仕事は気分一新、バリバリこなすこと請けあいである。
 2時に仕事の手を止めるということは、国家レベルで普及をはかるとなると、ていねいにシュミレーションを重ねないと、実現が危うい。可能性としては、昼休みの時間を現在より20分くらい延長して、昼食時間とおやつ休憩を昼休みに組みこんでしまうことである。本家のシエスタは2時から4時すぎまで2時間完全に休んでしまうが、もちろんこれは日本の実情からあまりにも隔たりがありすぎて、採用できそうにない。
 日本の伝統的な昼寝は、2時にとられるよりも、それよりすこし前の昼食後にとられている。これは午後2時の眠気を、1つ前の眠気のピーク時に仮眠をとって押さえこもうという、予防仮眠の儀式になっている。このことに注目すると、日本式の「新シエスタ」は設定時刻を12時台にくりあげ、休憩時間を最大30分として、20分の仮眠時間を組みこむことで実現できる。このやりかたは、すでに述べたように、いくつかの事業所が経験的につくりあげてきた、休憩・仮眠システムであり、仮眠産業の営業システムである。予防仮眠のいい点は、眠気とたたかうことなく、眠い時間を乗り切ることができるということである。
 このシステムがじっさいに動きだすと、すべての人々から不愉快な眠気と、眠気からくる不安をとりのぞき、うっかりミスによる事故を防ぎ、安全で快適な社会が実現できるはずである。
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